金銭が発生しない使用貸借とは?借地権とは何が違うの?

借りた土地に住宅を建てる方法には、借地権のほか「使用貸借」があります。使用貸借は、なかなか聞き慣れない言葉のため、「借地権とは何が違うのか?」と内容について混同する人も多いかもしれません。

今回は、「借地権と使用貸借」について、その特徴や違いを分かりやすくまとめて説明します。

◆使用貸借とはどんな意味?

使用貸借をひとことでまとめると、「タダで物の貸し借りをする」ということになります。誰かから土地を借りても賃料である地代の支払いをしないときは、使用貸借と考えることができます。

「使用貸借」は、土地だけに限定されず、物の貸し借りにおいて広く使用されます。例えば、「友達から本やCDを借りる」「兄から自転車を借りる」など、借りるときにレンタル料を渡すことはほとんどありませんよね。このように、「無償で借りて後から返還する」ことを使用貸借と言います。

◆借地権との違いは「地代」が発生するかどうか

他人の土地に住宅を建てるとき、「地代の支払いをする代わりに土地を使ってもOKですよ」という権利を得なければなりません。そこで、賃貸借の契約を結ぶことになります。

使用貸借との違いは、「地代」という金銭のやり取りが絡んでくるかどうかです。

◆使用貸借が見られる多くのケースは「親子間」

土地を所有している人は、持っているだけで固定資産税という税金を負担する必要があるので、誰かに無料で貸したうえ、自分で税金を支払うことはないでしょう。そのため、使用貸借は「親と子」「祖父母と孫」など、親族間で見られることがほとんどです。

マイホームを建てるとき、「使っていない親名義の土地がある」などで、地代なしで利用させてもらうことが多いのではないでしょうか。

◆使用貸借の期間はいつまで?

お伝えしたように、使用貸借は親子間での土地の貸し借りが多いです。他人とのやり取りでないことから、特に契約書を交わさずに口頭のみで取決めるのかもしれませんね。

そのため、契約期間など細かなことについては曖昧となっていることも珍しくないでしょう。基本的には、契約の存続する期間を定めていない場合には、貸している側は「返して欲しい」と返却を迫ることがいつでも可能です。

また、原則として「借主が亡くなったときに契約は終了」と民法上の規定がありますが、借主が亡くなってもその家族が住んでいることも多く、例外によって使用貸借が続けられることもあります。しかし、無料で土地を借りられることから、借地借家法で保護されている「借地権」と比べると権利の関係性が終わりやすいと言えます。

◆まとめ

地代の発生の有無を判断ポイントとして、借地権と使用貸借を区別します。多くは、親子間などで行われる使用貸借は、口頭でやり取りすることが多いです。しかし、貸主や借主の死亡などで状況が変わった後にトラブルとなる可能性もあり、契約書を作成しておくことが無難と言えるでしょう。