親の亡き後の実家…兄弟間で共有名義にするリスクとは?

親が所有する実家は、いずれは子供である自分が相続するもの。ただ、兄弟がいると、実家の処分方法を巡って少し厄介な問題も出てきます。なぜか、仲が良かったはずの兄弟でもお金が絡むと揉める原因となるようです。

「うちは大丈夫」と思っていても、裁判にまで発展することも。なかでも、いったん実家を共有にした後にトラブルとなるケースも多いです。

◆実家を共有名義にする背景

親が亡くなった後、実家を共有名義にするパターンとして多いのは、子供達がすでに独立しマイホームを持っているときかもしれません。特に、子供たちみんなが遠方に住んでいると、仕事の都合もあって「実家に戻って住む」という選択肢はほぼないものですよね。

しかし、思い出のある実家は、誰も住まないからと言って「すぐに売却する」という決断もしにくいもの。それに、実家があった方が兄弟も集まりやすいと、「ちょっとの間、空き家にして後で分けよう」という話でまとまり、とりあえず共有名義にすることもあるでしょう。

◆年数が経つと兄弟間で気持ちにズレが生じる

空き家にしておいて、一周忌や三回忌といった節目で「売却」に関する話が出るかもしれません。ただ、共有名義にした段階では「いずれ売って分けよう」と思っていても、年数が経てば気持ちは変わるもの。

兄弟間で、「そろそろ売却してお金を分けたい」「思い入れがあるから売りたくない」「マイホームを売って実家に移り住みたい」など、気持ちにズレが生じると面倒です。

売るためには共有名義となった兄弟みんなの気持ちが一致していることが必要。誰かひとりでも「売りたくない」と言えば、売ることはできないのです。

◆共有名義にしてなくても問題あり

実は、不動産の名義は、亡くなった人の名前のままでも特に問題はありません。なかには、親を通り越して祖父母の名前のまま…というケースもあるのです。

ただ、親の名前のままにしておいた場合、将来的には相続が複雑になる可能性が大きいです。親が亡くなった時点で「売る方向で」と話がまとまっていても状況は変わるもの。何年か経過し、兄弟のうちの誰かが亡くなることもあるでしょう。

そうすると、もともと兄弟が相続するはずだった持ち分は、その子供たち、つまり甥や姪に権利が生じます。遠く離れて暮らしていると、「何年も会ったことがない」「年賀状のやり取りさえしていない」と疎遠なことも多いですよね。

しかし、売却するには相続関係人すべての承諾が必要なので、いずれ連絡することになるでしょう。甥や姪が素直に応じればいいですが、何かしらの拒否をすれば、売却できずに揉めることもあるかもしれません。

◆まとめ

実家の親が亡くなったとき、共有名義にして実家を空き家にしておくのは、数年後の兄弟間トラブルに結びつくリスクがあります。また、名義を共有にせずに親の名義のまま放置するだけでも相続関係をややこしくすることもあるでしょう。

それぞれにマイホームを持っていて兄弟の誰かが実家に住むという選択肢がないのであれば、兄弟の気持ちが固まっている早いうちに「売却」してしまうのがいいのかもしれません。